Sentinel fold とはなにか

Nasturtiums. Cox Seed Annual (1898)

胃と食道の境目=噴門部、それから胃体上部、穹窿部後壁、その近辺に数mm前後の発赤した隆起性病変が見られることがあって、組織検査では過形成性ポリープとされる。それはH. pylori感染のない粘膜に多いのだが、どういった臨床的特徴と結びつければよいのだろうか。

院長はこれをsentinel polypsと呼び、自分もこの呼び名を好んで使う。オリジナルは放射線科医によるsentinel foldsという所見である。比較的よく見る所見であるが、これを患者にきちんと説明している内視鏡医はいるんだろうか。少なくとも日本ではこれに関する言及を見つけることは難しいし、他院から来院する患者で正しく指導されている人にもまだ会っていない。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21107084

この2010年のまとめではGERD(酸逆流)と関係はない、とされ、
さかのぼると

https://jcp.bmj.com/content/55/5/352.short
https://journals.lww.com/ajsp/Abstract/2001/09000/Hyperplastic_Polyps_of_the_Esophagus_and.9.aspx

2000年あたりの論文があって、GERDと関係するんじゃないか、とされる。

さて、とっくに自分の症例はまとめただろうと思っていたら、見つからないのでデータベースで検索をしてみた。

ピロリ陰性ではあるが酸逆流があまりない、おとなしい胃にある場合にもあるし、激しく逆流してそうな胃にもあるしで、解釈は難しい。しかし遺伝子によりできやすさみたいなものはあるのかもしれない。例えばS状結腸に物理的な刺激が理由で有茎性ポリープが出来同時にこのポリープが出現している症例がある事実からは、ポリープの出来やすさみたいなものはある可能性がある。

まだまとめていなかったので、何か発表できるかもしれない。

20年前まではH. pylori感染に関係するfoveolar hyperplastic polypsが認められる患者さんが多く、H. pylori除菌で減り現在では見ることはまれ。2000年以後ピロリ陰性の人にfundic gland polypsが非常に多くて、他院ではプロトンポンプ阻害薬で大きくなってビビってる患者さんが多いです。でもそれ以外にピロリ陰性の胃で、PPI使われてて、生検の痕跡から育ったんじゃないかと考えられるfoveolar hyperplastic polypsもありますし、前庭部の蠕動刺激に伴い発生したと考えられるポリープもありますしそれがadenomaになる場合もありますし、今回書いた噴門部近傍に出来るものもありますし、胃のポリープも色々あるということです。