FAPDは腸と脳の相関に影響を与える複雑な相互作用から生じるとされていて、その障害は個人により異なりますから、各患者に大して治療を個別化する必要があります。
このレビューは読者でない自分は中身が読めませんが、これに関して述べたニュースなどから内容が少し分かりました。
食後の吐き気とか腹痛をコントロールするため、薬理学的ターゲットとして胃の運動促進薬が議論されている他、過敏性腸症候群の治療的役割も兼ね抗炎症剤、接合タンパク質調節剤、鎮痛剤、分泌促進薬、およびセロトニン拮抗薬が議論されています。
薬理学的治療は胃内容排出、胃の蠕動調節、内蔵痛覚が対象となります。
ドンペリドンは改善させますが、FDA未承認かつQT延長の可能性があり注意が必要です。
SSRIであるタンドスピロン、5-HT1作動薬で抗不安薬であるブスピロン、NK1受容体拮抗薬で抗がん剤投与時の制吐剤であるアプレピタントは成人には使われますが、小児での研究はまだありません。
思春期とあるので10-19歳のことだと思いますが、SSRIは61%の腹痛を改善しますが、小児ではそこまでではない。
一方、プラセボが41%に有効であることが報告され、17%では痛みはなくなった、とされます。
非薬理学的治療としては、外耳への末梢電気神経刺激、胃電気刺激、低フルクトースおよび繊維ベースの食事などの食事介入、およびプロバイオティクス、プレバイオティクス、およびシンバイオティクスなどの栄養補助食品も試されます。
外耳に対する経皮的電気刺激(PENFS)の研究が1件ありますが、これは幸福感、痛みの緩和をもたらすとのことで注目されます。
暴露療法、認知行動療法、瞑想などの進歩した新しい心理的治療の他、鍼、灸、ヨガ、徒手整復治療などの代替療法も、FAPDの治療で人気を集めています。
認知行動療法(CBT)は、直後は良いのですが5年後にはもとに戻ってしまうという報告があります。
多くの治療が成人では研究され有効性を示していますが小児に当てはまるかどうかは不明です。
ハーブや鍼治療、整体などの代替療法についてはまだ研究は不足しています。
これらの研究の難しさは小児の多様性によるもので、ほとんどの試験は失敗に終わっているとのこと。心理的な問題を抱えている子が多いだけに、研究デザインも一筋縄ではないように思われます。VRの発達でPTSD治療における暴露療法にも進歩は見られますし、行動の管理などにはICTが有用かもしれません。子供の「ポンポンペイン」はとてもむずかしいと世界の人々が思っている事がわかって、興味深く感じました。
New advances in the treatment of paediatric functional abdominal pain disorders
Neha R Santucci, MD
Miguel Saps, MD
Miranda A van Tilburg, PhD