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Credit: National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID)/NIH |
PI-IBSと言ってわかってくれない消化器内科医がまだ結構いるので悲しいです。これを読んでください。
感染後過敏性腸症候群 (Postinfectious irritable bowel syndrome) はもっと診断されて良い
カハールの介在細胞などが傷害されることで、機能異常を起こしてくるという仮説がありますが、今回紹介する論文はその仮説を補強するような内容です。マウスの実験では腸に炎症がおきるとNlrp6/caspase 11 に依存して神経が自己のマクロファージにより傷害される。腸内細菌叢を改善させると再生が促された、と雑誌CELLに載っていました。
私は経験的に
・他院でウイルス性胃腸炎に抗生物質を使われたために却って症状が悪化しているケースがかなり多そうだ。
・下痢の反復による腸内細菌の減少
などから、腸内細菌叢の回復は不可欠と考え、ではどうするかといくつかの方法を試してみて現在はラックビーNとミヤBMなど、複数の整腸剤を発症直後、あるいは来院直後から投与するようにしています。
整腸剤の複数投与は保険上大丈夫なのか、という質問がありますが、もともと順天堂や日本医科大学の炎症性腸疾患を研究していらっしゃる先生方は炎症性腸疾患における腸内細菌バランスに注目され積極的に整腸剤を複数種類投与されています。講演の場で質問したところ保険的には査定された事はないとのことでしたから、私も使用するに至っています。1日分20円に満たない薬価です。ではなぜラックビーNとミヤBMなのかということですが、経験的にこの組み合わせが一番下痢の副作用が少ないからです。ビオスリーは下痢をする人がいますのでファーストチョイスとはしておりません。(全く逆もあるので患者のフォローをきちんと行い対処することは言うまでもありません)
この他には再生を促すために栄養剤やLグルタミン酸を使うことあり。
無論便移植もありでしょうし、こういうときのために自分の便を保存するのもありでしょうし、お母さんのぬか漬けなんかも良いのかもしれないですが。
この経験則が理論的にも正しいのかもしれない、しかもCELL、とのことでちょっとうれしい2020年1月。
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)31328-5